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囲繞地通行権とは?袋地の通行トラブルと対策をわかりやすく解説

  • 弘之 林
  • 6月6日
  • 読了時間: 3分


囲繞地・袋地とはどういう土地?

「囲繞地(いにょうち)」とは、自分の所有する土地が他人の土地によって完全に囲まれており、公道に直接接していないため、自力では外部と行き来できない状態の土地のことを指します。 このような土地は「袋地(ふくろち)」とも呼ばれており、特に都市部や住宅密集地では、相続や不動産売買の場面でさまざまな問題が生じる原因となることがあります。

たとえば、袋地に家を建てようとしても、道路に面していないため建築基準法に適合せず、建築許可が下りないこともあります。そのため、こうした土地には、周囲の土地を通行できる「囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)」という法的な通行権利が認められており、これによって袋地の所有者も生活や事業活動を営めるように法律で配慮されているのです。




囲繞地通行権の法的根拠(民法213条)

囲繞地通行権は、民法第213条に基づいて定められた法的な権利であり、自分の土地(袋地)から公道に出るために、他人の土地(囲繞地)を必要最小限の範囲で通行できることが認められています。この権利は、土地の所有者が生活を送るうえでの基本的なインフラ確保に直結しており、公共の利益とも関わる重要な制度です。

つまり、自分の土地が袋地である場合、その土地の所有者は、周囲の土地(囲繞地)を通って公道に出る権利を持っているということになります。この通行権は、「当然に生じる権利」として、登記されていなくても法律上は認められるものとされています。

ただし、通行経路が他人の生活環境やプライバシーに支障を与える場合、または私道が損傷しており整備が必要な場合には、通行する側に通行料の支払いや補修費の一部負担を求められることもあります。通行権は一方的に主張できるものではなく、当事者同士の協議や合意が必要となるケースも少なくありません。




実際に起こりがちなトラブル例

  • 通行経路について隣地所有者と意見が食い違い、揉めるケース

  • 通行中の騒音やプライバシーの問題からクレームが入る

  • 私道の補修や整備費用の負担割合をめぐる争い

  • 通行権が未登記のままで、相続後にトラブルが発生




囲繞地通行権の注意点と解決策

  1. 事前に通行承諾書を交わす:将来的なトラブル回避のために重要です。

  2. 不動産購入時に接道状況を確認する:建築基準法上の接道義務も要チェック。

  3. 通行権が登記されているかを確認する:将来の売却や相続にも影響します。

  4. 専門家に相談する:不動産会社・司法書士・弁護士などに早めに相談することで、法的な不安を解消できます。


まとめ

囲繞地は、周囲に他人の土地があるため、通常の土地と比べて相場よりも価格が安く設定されていることが多く、見た目にはお得に感じられるかもしれません。しかし、実際には通行権をめぐる法的な問題や、隣地所有者との人間関係トラブルなど、表面には見えないリスクが潜んでいるケースも数多くあります。

安さというメリットだけで判断して購入してしまうと、後々になって思わぬトラブルに巻き込まれ、解決に多くの時間や費用がかかる可能性もあります。そうならないためにも、囲繞地の購入や活用を検討する際には、通行権がしっかりと確認されているか、将来的な相続や売却時に問題が生じないかといった点を慎重に見極め、必要な準備を怠らないことが重要です。

不動産に関する専門知識を持つ専門家と連携することで、こうしたリスクへの対応策を事前に講じることができ、安心して土地の購入や活用を進めることができます。疑問や不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

 
 
 

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